森啓輔企画vol.1 絵画の Poly-morphology 高石晃・戸谷森

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1.展覧会,個展 : 森啓輔企画vol.1 絵画の Poly-morphology 高石晃・戸谷森
投稿者 : mori 投稿日時: 2012-06-20 18:07:59 (1104 ヒット)

森啓輔企画vol.1 絵画の Poly-morphology
高石晃・戸谷森

■会期:2012年06月21日(木)〜2012年07月07日(土)*火曜日・水曜日はお休み
■時間:11:30-18:30 *最終日17:00まで
■レセプション 6月24日(日) 18:00-
■会場: switchpoint
〒185-0012
東京都国分寺市本町 4-12-4 1F


絵画の Poly-morphology
Painting as Poly-Morphology

目の前にある絵画を前にして、ふと「あなたが見ているものは何か」と問われたとき、おそらく私たちは「絵画」と答える以外の術を知らない。それが帰属する作家名、表現技法や支持体、あるいは再現=表象された対象やイマージュ、色彩による線と面が織りなす画面構成、そしてポイエーシス生産ー制作の痕跡としての筆触。四角に区切られたフレームの中を鑑賞者の視線が遍く蹂躙することで、ようやくそれらは認識できうると言えるのかもしれないが、それは錯覚に過ぎない。むしろ絵画とは、そのような持続的な眼差しへの抵抗によって自己言及性が温存されている。絵画を前にして、 常に不確定なその場限りの言葉しか鑑賞者は持ち合わせえない。
その意味では、現代の絵画とはある有機的な運動体に比せるかもしれない。ゲーテ(1749-1832)は、ブルーメンバッハの「形成衝動」 から 導出した「メタモルフォーゼ(変態)」の概念から、動物、植物、鉱物の形態を動的な生成や消滅のうちに捉え、「形態学(Morphology)」を提唱した。しかし、私の欲望は絵画の今日的な体系化にはない。むしろ、そのような綜合への試みによる体系化の不可能性、あるいは破綻に触れることにあるといっていい。ゲーテの形態学は探索行為の経験科学であるがゆえに、その体系自体の変成が不可避的に内在していた。私が本企 画において絵画に見つめるものもまた、そのような絵画を見る経験を通じて変成していく構造の複数性にある。ゲーテにならって直観的にいうならば、それは一つのシステムではなく、より複雑な疑似システムとしての「多 - 形態学(Poly-morphology)」にあるといえるかもしれない。
「絵画の Poly-morphology」と題して行われる第 1 回目には、高石晃と戸谷森を迎える。高石の絵画はこれまで、例えば人の顔のようにある抽象形態が何かを代理ー表象してしまうその視覚作用に注目し、多数の形態と線の交錯する画面の組織化が目指されていたように思われる。近作、特にドローイングの要素が強調される作品では、より線的な表現が作家に意識され、線の重層性や隣接性がもたらす画面が焦点となっている。そこでの線は、空間の生成と同時に平面を貫通する。戸谷は絵画の歴史への接近により、西洋/東洋の対立項により設定されうる視覚の文化的差異を一つの画面内に入れ子状にし、捻転した空間を生み出す。描かれる山や木々といった自然物は、その複数の視覚性がある厚みの中でまさに地 滑りを起こしている。絵画の平面に対しての線的な貫通、または面的な地滑りの経験とは、視覚の持続性、複雑性において何を意味しえるだろうか。

森啓輔(本展企画者・美術批評)


■作家略歴
高石晃 TAKAISHI Akira
1985 神奈川県生まれ
2008 武蔵野美術大学油絵学科卒業
2010 武蔵野美術大学大学院美術専攻油絵コース修了

戸谷森 TOYA Shigeru
1980 埼玉県生まれ
2005 多摩美術大学彫刻学科卒業
2007 多摩美術大学大学院油画科卒業
2010 第 25 回ホルベイン・スカラシップ奨学生

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